blasphemous 考察とかあらすじの覚書

blasphemousクリア記念。
達成率は99.5%,プレイ時間は33時間でした。
 
シナリオっていうシナリオの表現が無かったので、
おぼえがきと個人的な解釈を添えてメモ。ネタバレしかない

 

あらまし
罪に苛まれた1人の女性が、神にどうかこの苦しみを罪を、
形ある痛みとして私に与えてくれと願い、彫像を胸に叩きつけた。
その願いは奇蹟として彫像を刃に変え、彼女の胸を深く貫いた。
後に懺悔の剣と呼ばれ、主人公がその贖罪のために振るう剣である。
この世界は今や、罪という罪、罪悪感をすべて形ある奇蹟として顕現させる。
奇蹟は時に祝福や苦痛の形を伴って訪れ、
人々はその罪の贖罪を果たすため独自の戒律や宿命を背負ってか細く生きている。
 
冒頭、この"黙する悲哀の修道院"では裸の死体がうずたかく積まれ、
皆一様に同じデザインのヘルメットをのみかぶっている。
この肉の山の中で目覚めた主人公は、起きて早々剣を握り直し、
死体に向かって鈍器を振り続ける化け物に立ち向かう。
ボス、黙する悲哀の番人は、
この"黙する悲哀の修道院"の元修道士長であるように推測されるが、
今はその面影もなくプレイヤーに武器を振りかざす。
 
ボスを葬り外に出ると、導き手であるnpc、デオグラシオスが待っている。
デオグラシオスは身体の至るところを縄で縛ったような容姿をして居り、
声をかけるとプレイヤーを指して "悔悟者" と呼んだ。
 
プレイヤーこと悔悟者は、黙する事(喋らない事)をその贖罪の一つとしており、
npcとの対話においても彼は決して語ることはない。
デオグラシオスもまた同様に贖罪を背負っており、
この奇蹟の御業の証人であり、語り手、と言う宿命こそを贖罪としている。
彼は、これで修道士長は苦痛の奇蹟から救われた、悔悟者に語り続ける。
そして悔悟者の患った奇蹟、眠れない奇蹟とその慈悲をもって、
この奇蹟の根元たる苦痛の揺り籠を探せ、と言う。
三つの屈辱を果たし、遠く隔たれた万母の母を目指せと。
 
以降主人公はこの奇蹟の元凶を求め、クブストディア中を歩き回ることになる。
しかしこの国は既に奇蹟が蔓延し、
町の外には信仰の心以外の全てを失った奇蹟の罹患者達が跋扈している。
主人公はこの奇蹟を止めるべく奔走する者であり、
奇蹟を神の象徴と信仰する者たちにとっての敵である。
その道中は険しい。
常人はもはや黄昏から色を変えない空の下を歩くことさえ辛い状況下
死ねない悔悟者は死を繰り返して奇蹟の痕跡を辿っていく。
 
 
修道院を出て最初にたどり着くのは、
クブストディアではもう珍しい理性の保たれた町、アルベロ。
解りやすく言えば安全地帯であり、悔悟者の今後の拠点的な町である。
 
民が奇蹟の恐怖に身を寄せ会う中、その苦痛を和らげんと活動している教団がある。
口付けの廉施者教団は、ある日来訪した女性が行った奇跡の口づけに倣い
痛みに口づけを行いその傷を祝福する事で、痛みを和らげる活動を行っている。
だが、奇蹟によって痛み続ける身体を治療する薬が終始充足することはない。
道中貴重な薬効を持ったアイテムを拾ったら、この教会に寄付することが出来る。
しかしタイミングが遅ければ、患者は刻一刻と迫る死期にその姿を消していくだろう。
 
同じくアルベロに存在する真聖遺物教団は、
正常な葬儀を受けられなかった者たちを埋葬する、と言う規則を持っている。
道中悲惨な事情をもってばら蒔かれた遺体を見つけたら、ここで埋葬をしてもらおう。
また地下には納骨堂があり、かつてアルベロにあったとされる古い墓の、その住人達のあるべき場所が用意されている。
クブストディア中のありとあらゆる場所に撒かれたこの骨たちを見つけたら、この納骨堂に納めることができる。
 
 
 
悔悟者が目指す苦痛の揺り籠は、聖なる教会として基本的に隔離されており、
固く閉ざされた苦悶の壁を開かない限り侵入はかなわない。
そのためまず悔悟者が目指すのは三つの屈辱、黄金の貌を持つ三人の聖者。
いずれも神の呪いたる奇蹟の祝福を受け、夢の中で保護された聖人である。
彼らに面会し、悔悟者の三つの罪をその黄金で溶かすことで、門を通れるという。
 
奇蹟の元凶、苦痛の揺り籠を抱擁する聖母教会こと万母の母は、
アルベロすぐの"教会廃墟の荒野"を越え、大きな渓谷と門に隔たれたその先に存在している。
広大な渓谷が沈まない夕日によって深い影を谷に落とし続けており、
この深い暗がりを、巨大な三試練の橋が細長く塞いでいる。
始まりの奇蹟、"聖下"のお膝元たる万母の母は、壁によってこの試練の橋からの侵入を固く拒み続けている。
苦悶の壁は選ばれし者の奇蹟による苦痛を描いた門であり、
三聖者に出会った選ばれし者でないと、この門は通行者を認めない。
 
 
アルベロを出て、教会廃墟の荒野を北に上がると気温が下がり、雪の降り積もるオリーブの枯畑を訪れる。
ジベットに吊るされた人間の残骸があちこちでキィキィと凍える風に揺られている。
目指すは山頂の修道院だが、そのそびえ立つ山は強い風と足場の悪さで侵入者を退ける。
雪の吹きすさぶ墓地を抜けた先で、目的地である"焦貌の修道院"が悔悟者を出迎える。
館内は風を通したままの冷たい中庭の色と、
山の溶岩を利用した熱の色が入り混じった複雑な造りになっている。
ここは自分の美貌を焼いた聖女を冠した修道院であり、
信徒は聖女に習って自身の顔を焼き、黄金の仮面でその顔を隠している。
また高山と言う立地がら、閉鎖的なコミュニティと厳格な管理体制も相まり
脱走は難しく、忌み子を送り込むケースや陰湿な嫌がらせの描写もかいまみえる。
ステージ内は女性型の敵が多く、金の仮面を着けた信徒が殆どである。
ボスは聖女本人であり、その顔に過去の栄華の面影はない。
爛れた黄金の顔からはみ出る肉が攻撃可能部位で、悔悟者は機を伺いつつ回避と攻撃をしなければならない。
両の手から繰り出されるレーザーや火の玉は多くのプレイヤーを苦しめたに違いない。これも奇蹟の賜物である。
ボス戦前には、一人の女性が悔悟者を待っており、必要なら協力を要請する事ができる。
ヴィリディアナはこの険しい道を進む悔悟者を助けるという宿命を贖罪として背負っており
多大なる奇蹟の力をもって、戦闘中の悔悟者の体力を回復し続ける。
 
 
ボスを葬り下山。
更に地下へもぐる"慈悲なる夢"ステージでは、慈悲を施す者と言う名のボスが待ち構える。
このステージへはアルベロを出てすぐの"教会廃墟の荒野"を抜け、
三試練の橋に至る手前で"償いの涙"のシンボルを飾った入り口から地下へ入る。
 
抜けてきた教会廃墟の荒野が、どんな教会だったのか、今は知るすべはない。
ただ道中、地面から突き出た杭にくくりつけられた裸の人々が、ぼさついた髪の毛を風になびかせて、その命の終わりを待ち続けているだけだ。
地下施設である慈悲なる夢は廃墟となった教会と隣接し、"償いの涙"をシンボルに掲げている(様に見える)あたり、
教会内外での何かに対し償いを行わせる施設だったのかもしれない。
それを匂わせるように深く潜り込んでいくこのステージは一様に暗く、
血溜まりと鉄格子、手かせと鉄の針が凄惨な"償い"を連想させる。
 
ボス戦を前に、一人の老女が立っている。
彼女は先ほどのボス戦で力を貸したビリディアナ本人であり、力の代償に大きく老け込んでしまった。
必要であれば力を借りることができる。
ボスの頭は山羊の骨のような顔で、手足が木の根のように変形しており、その姿は悪魔を想起させる。
"慈悲を施す"と言うのが何を意味するかは察しの通りでしょう。
悔悟者が現れると"慈悲を施す者"は腰かけていた女神像から起き上がり、その像の首を捥いで悔悟者を威嚇する。
ボスは体が大きく、攻撃直後以外は回避行動でも通り抜けができない。
壁際に追い込まれると瀕死なので気を付けたい。これも奇蹟のなせる技である。
 
 
ボスを超えた奥、冒涜の貯水路はアルベロ真下の巨大な地下空間で、
ヘドロと毒ガスの密集地帯となっている。
地上での生活を追われ地下へ逃げ込んだ人々の末路などを垣間見つつ、更に奥へ。
水路を出て終わりなき黄昏山脈を越えると、
とてつもない大きさの鐘をひっくり返した様な大穴、ホンドにたどり着く。
このホンドの大鐘を響かせることで、巨大な縦穴が姿を表してくる。怨嗟の縦穴だ。
奥底から沸き上がる呻き声は地上近くまで届くほどで、下層に閉じ込めた何かの恨みを反響させ続けている。
穴の奥では三苦悶と言うボスが三位一体となって襲い来る。
勿論ここでもヴィリディアナに救いを求めることが可能である。
ボス戦を終え、3度の手助けを終え老いさらばえたヴィリディアナは、悔悟者に運命を託しこの世を去ってしまう。
もしあなたが支援を彼女に求めなければ、彼女は最後まで死ぬことは無いだろう。
 
この縦穴の最奥には呻き声の正体が潜んでおり、悲劇の証拠を捧げることでかつて三人だった一人の異形が姿を表し、悔悟者にアイテムを授けてくれる。
 
 
三聖者は、倒すとそれぞれのボスの本来の人の姿と思われる遺体から、彼らの魂が保護されている夢の中へ侵入することが出来る。
夢の中へ訪れた悔悟者は、金の貌を持った聖人と対面し、
悔悟者の原罪とも言えるべき心の罪をその貌の金で溶かしてもらえる。
こうして三つの罪を赦された悔悟者は、ついに奇蹟の始まりである隔たれた教会へ入ることを許される。
 
ようやく教会へ行ける様になりいざ三試練の橋を渡ると、道中悔悟者を追いかけ続けてきた人物が悔悟者の行く手を阻む。
聖別軍エズドラスは、常にそこに存在しない妹に語りかけ続けていた。
すでに人の領域を出ている妹ペルペチュアは、ここに来るまでの間一度刃を交えている。
彼らを葬り橋を渡り終えると、デオグラシオスから彼らの素性を知らされる。
曰くかれら兄妹は幼くして聖下に拾われた孤児であり、妹は若くして死んでいる。
彼らは聖別軍。その大義と奇蹟を守るため、…そして妹の幻を消さぬため、悔悟者の前に立ちふさがったのだろう。
 
ようやく苦悶の壁を越えて、
道中あまり見かけることの無かった緑の繁る静寂の中庭を通り抜けると、
いつも膝立ちであったデオグラシオスが背を向けて立ち尽くしている。
彼の膝は擦り切れ、身体に食い込む縄が痛々しい。
彼は一つの樹を見上げながら語る。
第一の奇蹟はこの樹から始まったのだと。
 
それは自責の念に心を痛ませた一人の若い男性で、厳格な罰を天に望んでいた。
すると彼が祈りを捧げるため腰を下ろした丸太からみるみるうちに枝が伸び、彼の全身に絡み付き貫いた。
彼はこの痛みを奇跡だと受け入れ、その痛みに悲鳴をあげる事はなかった。
やがて彼は大きな樹へと成長していき、その大木は敬虔な信仰の証として民から崇められるようになる。
全ての奇蹟の始まりであり、元凶たる聖下である。
 
静寂の中庭を過ぎると大教会、そこは万母の母。
今までと一転してきらびやかな装飾の美しい室内に、悔悟者を退ける罠や敵対者が数多く揃えられている。
聖なる頂にたどり着くのを阻止せんとばかりに様々な施設を内包しており、
魔女裁判で処刑された魔女の子供、掘り起こされた司祭の亡骸、冤罪で燃え続ける囚人、の三人がボスとして存在している。
この三人は苦悶の壁を越えるための三聖者達と違い、聖人としての色よりも生や世への憎しみの色をより強く感じさせる。
この大きな教会が清廉潔白でないことは確かだろう。
 
ボス達を踏み越え、教会の屋上を越えて聖下の玉座を目指す。
そのほんの手前で、悔悟者によく似た女性騎士が行く手を遮る。
悔悟者を倒し、その名を呪い、永遠に消滅させるために奇蹟の祝福を受けた乙女は、クリサンタと名乗った。
悔悟者と似た大きなトゲのようなヘルムを被ってはいるがハキハキと喋る彼女は、
神の御業によって大きな剣を振り回し、怒りの雷を放ってくる。
彼女の猛攻をくぐり抜け、いざ葬らんとトドメの一撃を刺すが、すんでのところで逃げられてしまう。
 
彼女を退けた所で回廊を進むと、ついに聖下と対面する。
苦痛の揺り籠はもう目の前だ。
聖下は悔悟者に恨み言を述べた後、その名を永遠に呪いその死を祝福すると言い放ち襲い来る。
干からびたミイラに厳かな衣装を着せたような出で立ちで、
どのボスよりも魔法に特化した攻撃を繰り出すがさほど体力はない。
倒すとそれは鏡に映る幻だと言い、ボスらしく第二形態とばかりに真の姿を表す。
巨大な聖下の全身をくまなく鎧が覆い、その身体は微動だにせず、まるで鉄の処女に入れられた囚人のよう。
ただ彼の持っていた金色の聖剣のみが動き回り、あらゆる魔法が悔悟者を追い詰める。
剣を退けると聖下の顔を覆う蓋が開き、皮を剥がれた樹のような赤い顔が攻撃ヒット箇所となっている。
 
聖下を葬ると、鎧の中の人型は崩れ、不思議と安らかな顔をした聖下の魂とも言うような幻が夢の向こう岸へと渡っていく。
 
戦場の幻が消え去り、純白の祭壇を後に奥へ進むと始まりの反転の玉座があり、全てを飲み込む灰の頂に君臨している。
これこそがまさに苦痛の揺り籠である。
 
 
悔悟者の振るう懺悔の剣に絡み付く、罪の分だけ成長し握り手をいばらで覆うこの棘は、ここまで進んできた悔悟者の手を刺し傷つけ続けてきた。
いわばこれは悔悟者の巡礼であり、贖罪なのだろう。
(悔悟者という存在は、自らを傷つけその傷で地面を赤く染める贖罪を行っていた伝承がある)
この棘の成長によって悔悟者の贖罪は果たされたと認められるかが決まり、
見事果たされていれば灰の山を登り切り玉座を目にすることが叶う。
 
玉座にたどり着いた悔悟者は、振りかざした懺悔の剣を己が胸に突き刺し、
その玉座へついて、一つの木へと変貌していく。
これは贖罪の奇蹟で痛みを受け入れ木に成った聖下を辿る行為であり、
悔悟者は新たな奇蹟の末子としてこの世界に奇蹟を起こすのである。
悔悟者という最後の奇蹟の犠牲者を払って、奇蹟は終わりを告げるのだ。
 
こうして悔悟者はこの世界の新たな奇蹟の象徴として、
やがて数多もの人々に崇められるようになる
が、しかしデオグラシオスは語る。
悔悟者は、夢の向こう岸にその居場所はないと。
我々の心のうちにしか、彼は存在できないのだと。
それはいわば、悔悟者は死ぬことが許されていないという事であり、まだ彼自身は奇蹟の中にあるのだ。
奇蹟が止まった事自体が悔悟者を元凶とした奇蹟であり、
その本質は聖下と同じで、永遠の苦痛と贖罪に苛まされているのではないだろうか?
悔悟者の胸に秘めた悲哀と熱情を持って、
この世界に奇蹟よ止まれという奇蹟を届けたのではないのだろうか。
 
しかし、エンディングの最後。
クリサンタと思しき声が、悔悟者に対し "お前の名を永遠に消し去ってやる"と言ってその胸から剣を引き抜いてしまう。
これは奇蹟の復活となるのか、あるいは悔悟者の救済(死)となるのか、悔悟者の解放となるのか。真意は分からないままである。
 
ーーAエンド 了
 
悔悟者の贖罪が剣に染みず、果たされなかった場合はBエンドになる。
悔悟者は灰の山を登りきれず、灰に埋もれて沈み、二度と戻ることはない。
一見するとバッドエンドだが、灰の山から悔悟者のヘルムを取り出し埋葬するデオグラシオスの言うとおり、
悔悟者の眠れない呪いは終わりを告げ、贖罪は果たされたのである。
Aエンドが世界を救い悔悟者に救いがないと言う話なのであれば、いっそ悔悟者にとってはこちらの方が救われていたのかもしれない。
 
 
※全部個人的にプレイしていてこうなんだろうなと解釈した妄想です
 
以下個別
 
■黙する悲哀の修道院
・奇蹟の発端
 ネットで調べていると、奇蹟は神の怒りによって始まったという様な物を見かける。
でもゲームをプレイしていて、その様な雰囲気はあまり感じなかった。
 
奇蹟が神の強い意思(人類への罰)を感じない点として、主人公の存在がある。
主人公も黙する悲哀の修道院所属のただの悔悟者の1人であったと思うが、彼のみが死なないと言う奇蹟(呪い)を受けている。
悔悟者達を皆殺しにするほどの怒りの中に、そのような奇蹟が与えられるのか?
そして彼を導く証人デオグラシオスと、彼を補助してくれる回復の奇蹟の使い手ヴィリディアナがいる。
怒ってるのにこんなにお膳立てするかな?とも思うし、
デオグラシオスが度々言葉を重ねるように、これは全て神の気まぐれなのではないかと思える。
もちろんこれが人類に課した試練である、という考えは払しょくできない。
 
修道院の惨状 神の怒り説
 もし悲哀の修道院に悪い要因があり、そのために神の怒りによって殲滅させられた、
その怒りの贖罪に主人公が選ばれたと言うなら筋は通っているが
修道院の信徒が殺される程神の怒りに触れた理由も、主人公の贖罪の明確な理由も示されてはいない。
そもそも奇蹟は聖下の贖罪の念から始まったとされており、これは怒りでは無いように思う。(個人的には、だけど)
さすがに神の怒りで全滅したとしたら、エピソードの一つでもありそうだが…。
・聖下の裁き説
どちらかといえば、聖下初対面時のやり取りにおいて
"そなたの歩み寄る足音を聞いた。私は挨拶をしようと試みたがーー(中略)そなたの鉄仮面しか知らない。"
とあったので、個人を特定できない為に自らを滅ぼしに来る顔を察し葬った、というのは結構納得できる。

後述の画像左下あたりに苦しそうに手をひっかいた後もあるので、呪い的な裁きだったか、

あるいは聖下率いる聖別軍が出動し皆殺しにしたか。
ただその場合、信徒たちが一様に裸である説明があまりつかない。
貧困者が死体から剥いでいったというのも考えられるし、このような修道院の者に服を着せる価値が無いという行為かも。
でも服を剥いでいったというなら、主人公も剥がれていていい気はする。
・修道士長の暴走
これも納得度が高いが、聖下の苦しみに嘆く声に耐えきれず発狂した修道士長が
黙する悲哀の番人となって信徒を殲滅たらしめたというのもあの現状を見ると納得しやすい。
もし番人が崇敬の対象であると解っており、皆が敬虔な信徒であったなら、
修道士長が奇蹟によって信徒を殺し始めた事を受け入れ、それを苦痛たる贖罪の終わりとして迎え入れても不思議では無い。
だが信徒の多くは刺し傷のような傷から血を流しており、番人の大ぶりな攻撃で死んだにしてはいささか綺麗である。

 
・戒律に殉じた説
悔悟者達の巡礼は、自らの身体を傷つけながら道を歩き、その道に血の川が流れたほどである
というから、巡礼の末死ぬことこそが贖罪であった、という線もなくはない。
修道院内にて"これが真の静寂である"という死者の台詞があるが、
真の静寂こそ黙する事を戒律としたこの修道院の目的だったのかもしれない。
"裸足の巡礼者"が導師の死をも超えて戒律を守り、そのたどり着いた先で命を絶った事も近いのかもしれない。
傷の大きさからも自殺の線は納得しやすい。
この時点で悔悟者が懺悔の剣を持っていることも、あるいはこの剣ならば聖女の様に死ねるのではと考えた末かも。
でも本当にそうなら、エンディングと同様のシーンとして再現されてそうなものである…
ゲーム開始時点で悔悟者に贖罪の資格が無く、その自ら刺した剣で倒れた所からゲーム開始…だったら大変解りやすかったな~…。。。
自殺の線になると、裸なのも敢えて脱いだ様に感じてくる。
懺悔の剣のレリーフでもある裸の磔像は、この黙する悲哀の修道院でしか見ることはなく
裸になる(あるいはする)ことになんらかの意味があってもおかしくはない。
しかし自ら脱いだのだとすれば、主人公が一人服を着ている事が戒律違反のようにも感じる…。
(何度やっても死ねないから取りあえず服を着たのはありえる)
普通に考えるならば、何者かによって死んでから衣服は剥がされ、
悔悟者は死んでいないので剥がれていない、というのが解りやすい。
 
 
ただ一つ言えるのは、
皆骨にはなっていないと言う当たり死んでさほど経っておらず、腐敗が進んでいる程度の時の出来事で。
この修道院の信徒はいくばくかの日数を経ても皆埋葬されていない。
正式な埋葬を行っておらず、夢の向こう岸に行けてないのではないだろうか…。
とすればやはり自殺のような神聖なものでなく、埋葬させてなるものかという私怨を感じなくもない。
 
 
・懺悔の剣と聖女
 懺悔の剣もまた不思議な剣である。
この剣が生まれたのがいつかは分からないが、普通に考えるなら第一の奇蹟のその後だろうか。
剣を産み出した彼女もまた、聖下と同じ痛みを受け入れた奇蹟の聖女の一人であり、
各地に散見される懺悔の剣の祭壇を見るに、もしかしたらその信仰もまた広く親しまれていたのかもしれない。
この聖女を奉ったのが黙する悲哀の修道院であったとすれば、
この印象的なエピソードが最初に説明された理由も、この剣を主人公が携えていた理由もなんとなく理解できる。
 
 
・血を浴びる事
黙する悲哀の番人(ボス)を葬りその血を浴びるカットシーンは印象的だが、何のための行動かは特に説明が無い。
このゲームの回復薬は胆汁瓶に入った聖者の胆汁(血)を浴びる描写であるから、(ヘルメット越しでは飲んでいないと思うので)
修道士長の血を被るという行為もある意味で回復に似た、身を清めたり、あるいは決心的な意味合いを持つのではと推測。
序盤の惹き込み要素とはいえカットシーンになるほどだから、少なくとも悔悟者にとって重要な意味を持っているはず。
 
 
 
■宗教概念
・冒涜(blasphemous)
悔悟者は聖者を葬るという冒涜を重ねていくが、
一方で聖人は苦痛の奇蹟から解放され、悔悟者は自身の戒律と懺悔の剣を持って贖罪を果たしていく。
冒涜とは、一体誰にとっての冒涜なのだろうか。
これも神の奇蹟が歪んでいる故に成る思考である。
一連の流れから言えば悔悟者の行動で不利益を被る聖下にとっての冒涜であるが…
悔悟者によって一番救われたのは聖下である気もする。
正義と悪を当てはめているのが人間だとすれば、聖と冒涜を分けているのも人間であり、そこに神の意志はないのだろう。
 
・教会や戒律の種類の多さ
 懺悔の剣は最初磔の像にも見えたので、キリスト教モチーフ?とも思いましたが
悔悟で調べるとイスラム教が出てくる所や、その教えの中に
「あらゆる欲望や嫉妬などの悪い心を悔悟する必要がある」
「悔悟と償いによって罪は消える」
などの類似点もあり、キリスト教イスラムユダヤ教なども混ぜて、特定の宗教概念にならないようにしてるのかもしれません。
特に今作に偶像禁止などの禁止措置は見当たらず、神を(あるいは聖人を)かたどった偶像は至るところにあります。
懺悔の剣や黙する悲哀の修道院では大きな磔の像が存在していますが、まさかだから殲滅させられた、というわけでは…
 
聖書が存在しているとすれば聖下の居る万母の母教会地下の禁書の図書館などで、
存在はありそうですが触れらることはなく、あまり普遍的に見かけるものでは無いように見受けられます。
本って高級品ですしね。
図書館の中には爬虫類を崇める人類と猿の司祭の書物なども存在するようですが果たして…。
 
 スペインのセビリア地方にインスパイア、という記事をお見かけしました。
開発がそもそもスペインの企業なんですね?
確かにスペインの建築物は近いものを感じる…気がする。
スペイン宗教裁判とかも絡んでるんでしょうか。
だとすれば、
戦争や政治的な要因で様々な民族や宗教が入り交じって一つの国を形成したのがこのクブストディアであり、
偉大なる聖下統治の元大規模な異端審問が行われ、他の宗派は裁判に処されている。
(聖下の罪の意識はこれらが原因か?)
裸足の巡礼者達は導師をひどい拷問の末に奪われ改宗を余儀なくされ、
悲哀の修道院は信徒まで皆殺しにされてしまった…
という具合でしょうか。
 
 
・木と金
聖下が最初の奇蹟で大樹となり、それを倣うように木に変貌した悔悟者。
ボス慈悲を与える者も木のような見た目をしていて、オリーブの枯畑にいる時限NPCジェミニも木になり、
万母の母の静寂の中庭にのみ枯れ木を生やす雑魚もいるし、眠れる画廊には木の人形に守られたボスエスポシトもいる。
木そのものが聖なるもの、あるいは奇蹟の象徴に近い存在となっていた。
(聖下のせい?)
唯一他と違う点として、聖下は大樹となって、その幹に金が混ざりこんでいる。
その金は樹液として時折金の液体をこの世界に流し、奇蹟はまだ我々を見放していないことを示している…
とデオグラシオスが語ってくれていましたが、この金というモチーフは神の奇蹟や祝福の形として表現されがち。
この木が金を垂らし続ける限り、この奇蹟は終わらないという暗示でしょうか。
ゲーム全体を通してモチーフの使われ方が統一されているのはとても良いですよね。
 
一方で銀は清廉の象徴としての存在感が強く。
毒無効化の銀の肺がその最たる例で、聖禁の壁の鍵のテキストでも、銀に夢中の存在か描かれている。
毒で銀は黒ずむと言われるが、テキスト内の貴族の銀好みもそこ由来でしょうか。
銀は硫黄でよく変色するとあるので、もしかしたらクブストディアの毒ガスは硫黄由来なのかも。
神の祝福の象徴である金の剣で聖下は戦い、清廉たる銀色の剣で戦う悔悟者は、こういった対比を表していそうですね。
 
 
■焦貌の修道院
オリーブの枯畑を通って高山をのぼりようやくたどり着くこの修道院は、
道中たどり着けずに凍え死ぬ人々の残骸を見かけるほどに険しく、
悔悟者も着いて早々敵対心剥き出しの修道女にお帰り願われ、
リスポーン下山させられた人も少なくないのでは無いだろうか。
私がそうである。
 
ここはどのステージよりも個人的に道中が険しく、修道院の関連情報も多く、ついでにボスも強い。
それだけ有名な修道院だったのかもしれないですね。
 
焦貌の修道院ボスでもある焦貌の聖女は、その名の通り顔を焦がした聖女。
曰く、それはそれは美しい若い女が居て、あまりの美しさに天使であるとか女神の遣いだとか崇められ始め、
ついには大きな祭りでもご神体のように崇められてしまうものだから、
耐えきれなくなった彼女は神にその美しさを捧げるため、自分の顔を煮えたぎる油をもって焼いた。
しかしその傷はいつまでも治ることが無く、焼いたときの煙さえ立ち上るほどで、
これが奇蹟の産物であるとし、聖人に認定されることになる。
以来彼女の名を冠した焦貌の修道院が設立され、
聖女に倣って信徒は顔を焼く戒律が生まれ、その半分ただれた顔が痛む度聖女のぬくもりと慈悲を感じるのだとか。
ただれを和らげるためのガーゼを隠すために、信徒は皆黄金の仮面をつけているらしい。
酷い戒律もあったもんだと思いますが、それで奇蹟が防がれるなら…。。
 
聖女の爛れに合わせてか、修道院内には溶岩のトラップも多く、
雪山の山頂にありながらも、この山の溶岩で暖を取っていたのかもしれませんね。
 
 
・テンテュディア
山の麓にあたるアルベロ出身の若い女の子が、
生まれた時から奇蹟を患い、気味悪がった両親によりこの修道院に押し付けられるという話がある。
奇蹟が民衆にどう思われていたのかがとてもよくわかるエピソードです。
彼女はテンテュディアという名前で、その髪は棘のようにうねって尖り肌を刺し、その肌は血に濡れたという。
これを見た両親が脱出の困難なこの修道院に押し付けてしまうんですが、
顔を隠す戒律のこの修道院では髪を隠すことが容易であり、彼女にとっては都合がよかったのかもしれない。
しかしやがて彼女の髪が肌を刺し血に濡れた服がほかの修道女の目についてしまい、彼女は迫害される事になる。
彼女はやがて正式な埋葬をされないためにその髪・肉・骨をばらばらに放り撒かれてしまった…というエピソード。
恐らく彼女が亡くなった理由も迫害による者だと思われるが、
奇蹟によって聖人となった聖女の修道院において、奇蹟による迫害が始まるのだから皮肉な対比である。
のちに悔悟者が彼女のばらばらにされた遺骨や遺肉を集め、埋葬する事で彼女の祝福を授かれる。
因みにテンテュディアという地名がスペインにあるらしい。
 
 
■慈悲なる夢
ここの情報はあまりないけれど、恐らく地下牢、あるいは処刑場の類なのではないかと。
そして上部にあたる"教会廃墟の荒野"がどんなだったかは不明だけど、
ボスは度々その名を目にする"宗教裁判官"なのではないか?と思っている。
裁判官は慈悲が無く冷徹で、聖母教会のために幾度もの異端者審問をおこなってきたという。
そこまで聖下に、神に身を尽くした身であるなら聖人に認定されていてもおかしくはない。
ただ牢の存在は万母の母の内部にもあり、そちらには"宗教裁判官の鍵"を使って入れる部屋も存在している。
万母の母内にそれ以上の面影はなく、慈悲なる夢内部にもその情報はないため確信はない…。
宗教裁判官の鍵は、"慈悲なる夢"と万母の母教会地下の"眠れる画廊"を繋ぐ隠し通路で商人によって売られている。
 
■ホンド
・ボス三苦悶
三人の女性が代わる代わる遅い続けてくるボス三苦悶と、
怨嗟の縦穴最奥の、三人の女性が一つの体に融合したアルタスグラシアス。
明確な関連について語られてはないが、間違いなく同一人物のはず。
アルタスグラシアスに捧げるのは三つの証拠で、いずれも彼女たちの災難の過去を記している。
花嫁のリボンは、姉妹が婚姻を断ち切ろうと奇蹟に祈った様子を語り、
黒いベールは、嘆かわしくも姉妹が奇蹟によって婚姻から救済された様子を語り、
溶けた金貨は、姉妹たちが髪の玉に包まれていく様を語り、すりつぶされるような音がしたと。
彼女達は婚約を破棄したがっているが、誰との結婚なのかは解らない。
その式典は終わりを迎えず、彼女達は一つの毛玉となった。
周囲の目撃者たちは姉妹への奇蹟を嘆かわしいと評しているし、式典を成し遂げたかった様に思う。
終わりを迎えなかった式典とは何なのか?誰との婚姻なのか?
そしてなぜ彼女達はこんな地中深くの穴にいるのか?
 
 
ホンドについては、建造中の大鐘が完成しないままここにあるという事であったが
この縦穴についての説明は無く、ただ大鐘の舌が倒れると同時に破壊した足場の奥から静かに姿を現してくる。
これはまるで穴を隠したように見える。
 
大きな建造物を作るのに人柱を立てた話は日本にもありますが、
もしかして三姉妹は大鐘の為の人身御供として神に捧げられたのではないでしょうか。
神聖な鐘のために、神との婚姻と言う形で地中深くに埋められるというのはありえなくもない。
そのために聖人として奉られた、というのは納得感もあります。
本来は式典の後に埋められたんでしょうが、毛玉になっちゃったのでそのまま埋めたのでしょうか。
ただ気になるのは、ボス討伐後の夢の世界への入り口、ボス本人と思わしき遺体。
焦貌の聖女は顔の爛れた女性、慈悲を施す者は横たわった男性であったが、三苦悶は女性が一人であった。
少し老けている印象があり、皮は皮膚に張り付き痩せ細っていて、即身仏を思わせる。
…三人ではなかったのか?というのが純粋な疑問。
三人が一人となったのはアルタスグラシアスという存在であり、
一つになったのは悔悟者が捧げ物をしてからである…と考えるなら、遺体が一つである理由は付かない。
最初は玉に、あるいは地中に閉じ込められた彼女たちがお互いを食しあったのではないかとも考えましたが
すりつぶしたような音がして玉が出来上がったとあるため、この時点ですでに一人になっていた線も。
婚姻からの解放、自由を奇蹟に祈った彼女達は、やがて悔悟者の来訪によって一つの体を手に入れ
どこかへ消えていきました。
奇蹟によって一つになった彼女達は何を思い、どこへいったのだろう。。
 
 
■雑感
他にも細かいエピソードはいっぱいあって、読んでるだけで楽しかったです。
文章を読んで勝手に妄想してるときが至福だったり。
こういったフレーバーテキストで世界観の輪郭や形容を知っていけるのは結構好きです。
アクションゲームとしてのテンポも落とさず、好きな人は読めば良いわけですし。
アイテムを消失してからテキストを読みたいときには不便きわまりないですけど…図鑑とか欲しかったですね。
骨集めとか大変でした。
 
操作も特に不満はなくシンプル。
ただちょっと壁とか床のコリジョンにはまったり、落下攻撃の出し方が暫くわからなかったりはありましたけど……。。
落下攻撃ちょっと長押しするとか書いててほしかった。
剣の核は最後まであんまり頻繁に取り替えなかったな~とか。
ロザリオと祈詞は結構ボスによって変えたり楽しかった。
地を這うベルディアレス万能
 
ダークソウル系の色もかなり濃いみたいですね。
攻略を進めるとちゃんとショートカットが開通したり、適宜セーブポイントがあって敵はリスポーンするとかも。
着想元でもあるようですが、3Dだと没入感強すぎてプレイ出来ない怖がりには大変ちょうど良いゲームでした。
2Dのメトロイドヴァニア系?は初めてでしたけど、ちょっとはまりそう。
最初はワープ無いの不便だなーと思ってたんですけど、次第にそれがゲーム性として納得できる作りで良かったです。
ただ聖遺物は取得毎に各フィールド練り歩き直すのは少々面倒でしたね…。
 
救えないnpcが多くて少し寂しいですけど、プレイ感は満足。
スイッチ版はトロフィーとかないので、素直にsteam版にすべきだったか…
 
裸足の巡礼者は…助かってほしかった…
導師の像の扉が開いて、中のアイテムが亡くなった導師の手だったものだから。
入れ違いに入った巡礼者はその手を見れば思い止まったんじゃないかとか、色々考えちゃいました。
苦痛を受け止める少女とヴィリディアナ(回復の人)ぐらいですね、ちゃんと救えたの。
ヴィリディアナは最初に助けてもらって、次にあったときに同一人物だと思わなくてびっくりした覚えがあります。
え、このおばあちゃん…まさかこの前の……?回復の奇蹟のせいで老け…そんな…
となって以降サポート頼めなくなりました。
万母の母の少女を見守る男性も普通に身投げされちゃいましたし。さすがに聖遺物教会に行くとかはわからん……
オリーブの枯畑の木と同化した人も、最初に会った時点で木でした。かなしみ
オリーブのフィールド行ってからすぐ引き返して慈悲なる夢と冒涜の貯水路攻略しちゃったもので…
時限イベントがあったのもクリア後に知ったぐらい。
後は真エンドの到達法は解るか!って感じでした。
棘成長しないな~と思ってましたよ……
駄目な悔悟者でごめんな…まぢむり…悔悟しよ…
 
 
steamでアートワーク買おうと思ったら、ゲーム本体買ってないと買えないんですね。
しぶしぶ買っても良かったんですが、とりあえずサントラだけ単品購入しました。
音楽もすき…
かきならされた弦の音が、少し灰混じりのけぶった黄昏色の町と、人々と神の距離感を感じる……ようなきがする…。
そしてたまに棘に刺さって即死する空耳が聞こえる。
アートワークは実際の本のバージョンも売ってるらしいですね。悩み
 
ソウルライクとうたいつつも、独特の宗教観念と雰囲気、アートがきちんと独自性をもって調和しており、世界観浸りたい派には大満足の一本でした。
dlcや続編が出るなら楽しみです。